「28日後」⇒「ウォーキング・デッド」⇒?
「28日後」は、ゾンビ映画として解釈すると、パンデミックそのものの描写を大幅省き、ゾンビをある程度コントロールできる状況下における人間同志の争いにフォーカスした作品だ。
テーマ自体は、初代「ナイト」以降、当たり前に織り込まれていた主要テーマの一つであるが、単純に「本当に怖いのは人間」という教訓めいた結論を匂わすに留まらず、ゾンビによって崩壊した世界で繰り返し起こりうる社会的な関係性の変質に視点をシフトさせえた点は評価に値する。
言い換えれば、ゾンビ映画に長期的に敷衍する「その後」の視点を明確に持ち込んだと言える。
「28日後」のその先の半年後・1年後・3年後・5年後はどうなっていくのだろうかと想像を刺激する。
この視点の変容はドラマ『ウォーキング・デッド』に引き継がれ、継続的に描かれていく。
最初の2週間のパンデミックで、都市部を中心に人類の9割は死滅する。
田舎や島嶼部など隔離された区域では汚染は比較的ゆっくりと広がるが、数ヶ月のうちに同じ運命をたどる。
ゾンビによる文明崩壊から半年もたつと、既存の秩序は壊滅し、生き延びるために結託した人々によっていくつかのコミュニティが生まれるが、その大半は自堕落に崩壊する。
物資の取り合いや疑心暗鬼、嫉妬、組織内の主導件争いは、このような状態でも人が人を殺す理由に十分だ。
秩序を重んじ、他者と未来に対して誠実であろうとするいくつかのコミュニティは、一定期間生き延びるが、そのほとんどは1年以上保持されることはない。
この世界では、善悪のバランスを取りつづけることは非常に難しいからだ。
奇跡的に1年以上保持されたコミュニティも、様々な危機を潜り抜けてきたが故の慎重さから、他のコミュニティとの戦争に巻き込まれることは多々あれ、合体することは非常に難しくなる。
その先にある未来は?自分だったどうする?
この想像(妄想)の連鎖こそが、ゾンビ映画の醍醐味と言える。
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